船員幸福度指数はパンデミック前のレベルまで増加に転ずるものの、根本的な問題を理由とする業界からの人材流出のリスクは高まる-2021年の船員幸福指数第3四半期報告書の調査結果を読む

News & Insights 27 October 2021

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ミッション・トゥー・シーフェアラーズの最新の船員幸福度指数(SHI)は、福祉基準が変わらない場合の長期的な波紋を浮き彫りにしています。

船員幸福度指数はパンデミック前のレベルまで増加に転ずるものの、根本的な問題を理由とする業界からの人材流出のリスクは高まる-2021年の船員幸福指数第3四半期報告書の調査結果を読む

海上の安全と船員の心身の健康度に焦点を当てた継続的な取り組みの一環として、今年スタンダードクラブはWallem Groupとともにミッション・トゥー・シーフェアラーズと提携し、 2021年の船員幸福度報告書の発行を支援しています

2021年第3四半期報告書は、幸福度が前回の報告書期間の10点満点中5.99点から全体で10点満点中6.59点にまで増加し、2019年第3四半期の新型コロナウイルス以前と同じレベルに戻ったことが強調されており、船員に対する新型コロナウイルス関連の緊張が緩和され始めており、ここにきて船員の福祉に関する支援策が効力を発する機会があったことを示唆していますが、上陸休暇と船と陸地の間におけるインターネット接続環境に関する課題は残っています。

上陸休暇がなければ、船員は海上勤務には戻りません

新型コロナウイルスの世界的大流行が始まって以来、上陸休暇と長期契約は大きな課題でした。これまでのところ、回答した船員の5%は1年以上海上勤務をしている、さらに13%の回答者は9か月以上、残りは9か月未満と述べています。

家庭生活と乗組員交代にまつわる非常事態という不確実性とのバランスを取らなければいけない難題に直面して、陸上勤務を暫定的に検討していた多くの人々が転職の計画を余儀なくされています。報告書では、多くの船員が最終的に帰国した後は海上勤務に戻るつもりはないことを強調しています。

ただでさえストレスに苦しむ労働力の定着の問題は大きな懸念事項です。将来起こりそうな問題を管理するための、理路整然としたメカニズムが一見したところほとんどもしくは全くないまま、今後数年間で船員不足が高まる可能性があります。船乗りの経験や専門知識が失われる可能性があるという事実は、関連各方面への警告となると思われます。

不十分な接続環境がもたらす真の代償

船と陸地の間におけるインターネット接続環境は、長年の論争の的となっている問題です。アクセスできない、または質が悪く、速度が遅く、途切れ途切れで高価であると感じている乗組員は、満足していません。多くの回答者は、インターネットアクセスの問題を、企業が乗組員についてどのように感じているかを評価する最も有効な方法の1つと見なしています。

オンラインアクセスのコスト問題は、今四半期に繰り返し発生しました。ある船員は、「私たちの船内インターネット費は100MBで25ドルです」と述べています。これを見れば、船員にとってどれほど料金体系が厳しいものかが分かります。他にも自分たちのインターネット割り当て容量に不満を唱える人は多く、「船主から自分たちに丸1ヶ月の消費容量として提供されたのは250MBだった」と述べた人もいますが、これは家族へのビデオ通話1回分にも足りないかもしれない程度です。

このフィードバックから、船内のインターネットアクセスへの手頃な価格と配給について深刻な懸念が引き起こされますが、福祉の観点から非常に多くの船員にとってこれはかなりの優先事項です。船主と管理者は、この点に対する改善に向けて取り得る対策を改めて検討することをお勧めします。

スタンダードクラブのロスプリベンションディレクターであるYves Vandenborn船長は、次のように述べています。 「船員幸福度指数第3四半期の結果は、10点満点中6.59点でわずかな増加を示しています(第2四半期の10点満点中5.99点から増加)。小さな改善の積み重ねが一時的な救済をもたらしているという印象がありますが、この新型コロナウイルスの世界的大流行の過程で悪化した休暇や一般的な不当な扱いなどの根本的な問題により、多くの船員は船乗りの職をやめ、他の待遇の良い勤務場所を探すことを検討しています。」

ミッション・トゥー・シーフェアラーズのアンドリュー・ライト事務局長は次のように語っています 「新型コロナウイルスに関連する問題は船員に影響を与え続けており、今後しばらくは継続される可能性があります。そうは言っても、データは乗組員の感情が安定していることを示唆しており、これは表面上は喜ばしい事です。しかしながら、これが望ましい変化の始まりなのか、それとも新型コロナウイルスの世界的大流行が原因で自らが経験している状況に対して船員が単により抵抗力があるのか、言い換えれば、過去21か月に経験した苦難が「新たな通常」となっているのかを判断するのは時期尚早です。

「船員は過去2年間で多くのことを経験してきました。彼ら他に類を見ないリスクと混乱の時に世界貿易のカギとなり、仕事を続け精力的に活動し、小売流通を継続させて世界が回復に向かってゆっくり進むことを可能にしました。私たちは、船員全員にとても感謝し、大いに尊敬し、そして評価しています。

「私たちは、すべての船主、運航者、管理者にこの報告書を熟読し、乗組員の話に耳を傾け、長年の問題である乗組員交替の件、または最新の調査で見られるようにインターネットアクセスの費用や制約であるかどうかにかかわらず、ホームシックにかかっている船員にとって生命線となる可能性があるので、彼らのニーズに対処するために必要なものに基づいて行動することをお勧めします。」

Wallem GroupCEOであるJohn-KaareAune氏は、次のように加えます。 「今回の最新報告書では、船員幸福度指数が高まっていることを嬉しく思いますが、同時に、船内での長期滞在により、海上での職に終止符を打つことを検討している船員の数が心配です。世界のサプライチェーンを維持するために、業界としての私たちは、通常の乗組員交代サイクルに戻ることに引き続き重点を置く必要があります。そして最も重要なことは、世界中のさまざまな国が船員を自分たちのキーワーカーとして扱い、管轄区域での移動や乗組員交代制限を緩和する必要があることです。」 

Yves Vandenborn船長は次のように結論付けています 「データのわずかな上向きにもかかわらず、船員の流出を反映している交代船員の不足に関しては、感情的な面や問題の兆しがすでに現れています。これは、国際海運会議所による最近の共同公開書簡でも提起されており、労働者の不足がどのようにサプライチェーンを大きな脅威にさらすことになるかが示されています。もう一度、当クラブからは、すべての主要な各ステークホルダーに、有限実行を心掛けて船員を大切にするよう呼びかけています。

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報告書の内容を一連の短い記事に分けて分析しますので、しばらくお待ちください。

スタンダードクラブのロスプリベンション部門は、 船員の福祉向上のために尽力しています。その実践の証しとして、当クラブは 乗組員の健康と乗組員交代に関する ネプチューン宣言に署名しており、さらに ミッション・トゥー・シーフェアラーズによる報告書である 船員の幸福度指数も後援しています。

カテゴリー: Loss Prevention

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