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環境コンプライアンスウエビナーQ&A

News & Insights 28 June 2021

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先頃行われた「環境コンプライアンス」についての当クラブウェビナーでは、ご登録いただいた方やライブセッションに参加された方から多くのご質問をいただきました。時間の都合上、すべての質問にその場で回答することができませんでしたが、業界の専門家であるパネリストから、寄せられたすべての質問に対する書面での回答を頂きました。

環境コンプライアンスウエビナーQ&A

Q&A

違反/コンプライアンス不履行の可能性を発見した場合、船主や用船者はなにをするべきでしょうか。

違反/コンプライアンス不履行の範囲により異なります。船舶からの液体による汚染が疑われる場合には、直ちにすべてのポンプ操作を中止し、会社の安全管理システム(SMS)およびSOPEPガイドラインに従った通知手順に速やかに従うことが推奨されます。通知先には、通常、会社の運航管理統括責任者(DPA)、P&Iクラブ、現地港湾当局が含まれます。

汚染の疑いがあるものは積極的に調査します。汚染源と原因を特定します-何が悪かったのか、なぜ起きたのかを検証します(行為者には注目しません)。適切な是正措置および予防措置を実施します。事件に関連する写真を撮り、欠陥のある設備を含め、事件に関連する証拠や文書を収集します。安全な場所に保管して、明確なラベルを貼ります。

事件の範囲と重大性に応じて、外部法律顧問に内部調査を依頼して、完全な事実関係の記録の作成を支援し報告義務や書面による報告書の作成について助言を得ることを慎重に検討すべきです。P&Iクラブは法律顧問の推薦をお手伝いしています。

すべての事案において、当局に全面的に協力します。その際、以下の要素を考慮します:

  • コンプライアンス不履行は自己申告されたのか、またどのくらい早く申告されたのか。
  • 包括的な是正措置計画が実施されたか。
  • コンプライアンス履行に向けどのような努力がなされたか。

新しいVGPのアップデートはいつ頃になりますか。

2013年版VGPの要件は、通常の船舶の運航に付随するあらゆる排出物に関して、船舶からの排水に関する法律(VIDA: Vessel Incidental Discharge Act)に基づいて公布された規制が最終的に有効となり、施行されるまで有効となります。そのため、米国向けに取引を行うすべての船舶は、新しい規制が最終決定されるまで(2022年後半の予想)、現行のVGP要求事項への準拠を維持する必要があります。

VIDAの詳細については、当クラブの ニュース-項目をご覧ください。

油記録簿(RORB)と排出記録簿 (GRB)の適切な記録保持を確保するという観点から推奨される行動をお聞かせください。

ORBは、船上でのすべての油の移動、ビルジ水や汚泥の排出作業を記録することになっているので、IMO MEPC.1/Circ.736/Rev.2に記載されているガイダンスに従って、適切に記入されなければなりません。

PSC検査の際、米国沿岸警備隊(USCG)はエンジンルームのスタッフに質問し、ORBの記入内容が船員が実際に行った手順を反映しているかを確認することがあります。船舶が汚泥の処理に焼却装置を利用している場合、USCGは焼却装置の工程日誌の記載内容をORBと比較します。これら数字に矛盾があったり、工程日誌に焼却装置が定格容量を超えて稼働していたことが記載されていたりした場合、本船が汚泥を不適切に廃棄しているのではないかと疑われます。

同様に、USCGはGRBへの記入内容の正確性を確認します。船舶がMARPOL 条約附属書 V に基づく広域カリブ海特別地域を航行した場合、承認された粉砕機を使用したかに関わらず、海上に排出された食品廃棄物の記入内容と最寄りの陸地からの距離を確認する場合があります。

近い将来、電子記録簿(ORB)がハードコピーに取って代わることになるのでしょうか?IMOで義務化されない場合、船舶管理会社はどのようにこれを推進すべきでしょうか?

2020年10月1日より、紙の記録簿の代わりに電子記録簿(ERB)の使用を可能にするMARPOL条約の改訂が発効しました。これらの改訂の詳細は、当クラブウェブサイト ここに掲載されています。

USCGはこれらの改訂を受け入れ、ブログを公開し、電子記録簿(ERB)が書面の記録簿と同様の方法で審査されることを明確にしました。船舶の代表者は、電子システムがIMO決議MEPC.312(74)で規定された基準を満たしていることを旗国政府が確認した書面を検査官へ提出する準備をしておく必要があります。詳細は以下からご覧いただけます:  MARPOL 73/78の改訂により電子記録簿が可能に- 米国沿岸警備隊ブログMaritime Commons

排ガス浄化装置(EGCS)に関する遵守事項や故障時の対応について教えてください。

2019年5月、IMOは、排ガス浄化装置(EGCS)が2015年EGCSガイドライン(決議MEPC.259(68))の規定を満たしていない場合に取るべき行動に関するガイダンスを示すサーキュラー(MEPC.1/Circ.883)を発行しました。

米国水域 での排ガス洗浄装置の使用に関する 追加のガイドラインは、当クラブウェブサイト、および米国沿岸警備隊商船法令執行部 (CG-CVC) Mission Management System (MMS) Work Instruction (WI)で公開されています:  CVC-WI-022(1)

メタン、フッ素系温室効果ガス、排出水(ボイラー水のボトムブローなど)などの日常の排出物の今後の評価に関してなにかあればパネリストから一言お願いします。そのような排出は評価や規制の対象になると思われますか?

2020年10月、米国環境保護庁(EPA)は、船舶からの排水に関する法律(VIDA)に基づき、米国水域およびその接続水域を航行する船舶の通常運転に付随する排出物に対する海洋汚染防止装置の国家性能基準を設定する 規則案 を発表しました。

規則案では、20種類の船舶機器やシステムに適用される具体的な排出基準と、あらゆる種類の船舶の付随的な排出物に広く適用される一般的な排出基準が詳細に示されています。

規則制定プロセスが完了し、USCGがVIDAに基づく実施と遵守のための規則を発表するまで(2022年までと予測されます)は、2013年船舶入港規制(Vessel General Permit)要件への適合を含め、現行の暫定要件が効力を持ち続けます。

詳細については、 当クラブの更新内容をご覧ください。

上記と同様に、船主は問題を発見した場合にCGに自主的に開示すべきか教えてください。自主的な開示により船主は法的責任から保護されるのでしょうか?

米沿岸警備隊は、正式な環境犯罪自主開示方針(Environmental Crimes Voluntary Disclosure Policy)(以下、「方針」)を定めています。本方針では、企業が違反を迅速かつ 自主的に開示し、本方針の条件が満たされている場合、米国沿岸警備隊はその問題を刑事訴追の対象として「推奨しない」としています。本方針は、犯罪を犯した個人を保護するものではありませんが、民事制裁金が課せられる可能性はあるものの、企業体を刑事訴追から保護することができます。企業体が本方針に保護を求めるには、いくつかのステップと条件があります。そのため、違反または違反の可能性を発見した場合には、速やかに米国の法律顧問に相談し、自発的な開示を行うべきかどうか、どのように行うべきかを評価し、方針の条件が満たされているかどうかを確認する必要があります。

2007年以降、米国沿岸警備隊による自主開示方針の更新はあったのでしょうか。

本方針が2007年に策定されて以来、本質的に大きな変更があったとは把握していません。上記の推奨と同様、船主または用船者が自主的な開示を検討している場合は、当クラブは、米国の法律顧問に相談し、その時点で有効な方針を確認し、その条件を確実に遵守することを推奨します。

米国沿岸警備隊が不当に船舶を拘留したと船主が考えた場合、船主は訴訟を起こすことが可能か教えください。

ウェビナーでご説明したように、MARPOLは米国では船舶による汚染を防止する法律(APPS)により実施されています。APPSは、「船舶、その船主、用船者、または責任者」がAPPS違反の責任を負う可能性があると信じる合理的な理由がある場合、沿岸警備隊に船舶を拘束する権限を認めています。APPS には、「不合理に抑留又は遅延された」船舶が「それによって被った損失又は損害」を回復することを認める条項33 U.S.C. § 1904(h)も含まれています。したがって、厳密にいえば、APPS違反の疑いで沿岸警備隊に不当に拘留された場合、船主は訴訟を起こして損害賠償を請求できます。

しかし、裁判所はこの損害賠償規定を狭義に解釈しており、MARPOL/APPSの調査や訴追が行われるまでの間、沿岸警備隊が船舶の解放条件を設定する広い裁量権を持っていることを確認しています。とりわけ、米国の裁判所は、法的手続きが完了するまで沿岸警備隊が船舶を拘留することは合理的であると判断しています。さらに、一般的には、刑事上の罰金の上限以下に設定された保釈金の額は妥当なものです。これらの問題で沿岸警備隊に与えられた裁量を考慮すると、§1904(h)で規定された損害賠償請求が適用可能なのは、非常に稀と考えられます。現在までにそのような損害賠償請求は成功していません。

船主が不幸にもMARPOL違反をしてしまった場合に、クラブに償還を求めるにはどのような手続きが必要か教えてください。

MARPOLに関する補償請求には、担保を求めるかどうかによって、通常2段階または3段階のプロセスがあります:

  1. 通知-クラブに裁量事項が通知された場合、保険の裁量性がメンバーに完全に説明されます。
  2. 担保 - 裁量可能補償請求に関して担保が必要な場合、現金預金または一流銀行保証のいずれかの方法でメンバーから適切な逆担保を受け取った場合にのみ、担保を発行できます。 クラブは、常にその完全な自由裁量によりメンバーを代理して担保を提供できるものとする-規則9.1参照。
  3. 償還 - 裁量可能補償請求に関するメンバーの責任が明確になり、すべての手数料と費用が支払われたら、償還の請求書をクラブに提出する必要があります。 メンバーからの要請を受けて、次回の取締役会に提出するための報告書が作成されます。  報告書は、クラブがメンバーと協力して作成し、メンバーには提出前に報告書を確認する機会が与えられます。  この報告書は、(関連性がある限り)メンバーの方針と手続き、およびそれらの遵守状況を詳細に調査かつ精査するために、クラブが雇用した弁護士および/または専門家からの追加の報告書によって裏付けがなされる場合があります。  取締役会に提出する前に、上級補償請求担当者で構成されたクラブの裁量可能補償請求内部委員会は、関連する点すべてが対処されていることを確認するために、報告書を見直し確認します。

船主へのMARPOLの罰金はクラブで保険てん補されるのでしょうか?(ケースバイケースだとは思いますが。保険てん補される場合の条件を教えてください。)

海洋汚染の罰金および関連費用に対する P&I カバーは、クラブ規則 3.16.4 の下で裁量的でのみ利用可能です。 規則.3.16.4は取締役会によって適用される2段階の試験を規定しています:

  1. 第一段階では、回収損害金額が存在するかを検討します。この点に関しては、「メンバーが、罰金の原因となった事象を回避するために取締役会にとって妥当と思われるすべての措置を講じたことを取締役会に納得させた範囲」でのみ損害金額の回収が可能です(規則3.16.4より引用)。 これは非常に難しい課題です。
  2. 第2段階では、回収損害金額の額について検討します。その回収損額金額の額は、取締役会の裁量に委ねられます。

詳細は、当クラブウェブサイト ここでご覧いただけます。

乗組員へ直接課される罰金についてはどうでしょうか?

一言でいえば、ほとんどの状況では保険てん補されます。しかしMARPOL関連の場合、他の事例と同様に、ケースバイケースで判断されます。  

出発点となるのは規則3.16であり、この規則は「メンバーまたはメンバーが合理的に弁済するか法的に補償する義務を負う他の者に課された罰金...」(強調しています)を明示的に扱っています。従って、メンバーが、マスターや乗組員を含む、メンバーに関連する当事者への合理的な弁済に踏み込む場合、規則が適用されます(規則3.16.4に基づく裁量的アプローチも同様です)。 

ただし、例えば、乗組員の側に明らかな犯罪性がある場合のように、乗組員に代わりメンバーが弁済することが妥当でない場合は、規則は適用されない場合があります。

施設において廃棄物を排出できないと言われた場合、どうすれば良いでしょうか?

現地港長(COTP)に連絡を取り、「Report on Alleged Inadequacy of Port Reception Facilities」をできるだけ早期に提出します。この報告書は送れずに提出されて、かつ船舶代理店や施設とのやりとりを含むすべての情報を提供する必要があります。

船が港に到着する以前に起きた違法な排出を船主が自主的に開示した例はありますか?

はい、是正措置の詳細と旗国とのやりとりとともに、油記録簿(ORB)のコピーが提示された例があります。

米国沿岸警備隊の審査を円滑に進めるために必要な方法を教えてください。

安全管理システム(SMS)を効果的に導入します。乗組員の訓練、効果的な内部監査、企業としての安全文化の奨励への投資は、とりわけ、円滑な米国沿岸警備隊の審査につながります。

廃棄物処理のために港が課している高額な処理料金。米国沿岸警備隊からの考慮事項はありますか?

現時点で知る限り、米国の妥当性基準は廃棄物処理の利用しやすさです。 

船長が船周辺の海域で海洋汚染を目撃した場合、何をするべきでしょうか?

海洋汚染の内容を査定して汚染源を特定し、自分の船からのものであれば解決します。汚染源が自分の船であるかにかかわらず、米国水域内であれば米国沿岸警備隊の国家対応センター(NRC:National Response Centre)にも連絡してください。

VGPコンプライアンスに関して、米国環境保護庁や米国沿岸警備隊が実施する典型的な船上サンプリング試験について教えてください。

米国沿岸警備隊が船上でサンプルを採取した場合は、厳格な証拠保全の手続きを経て、米国沿岸警備隊の海洋安全研究所に送られ、科学的な油の分析が行われます。

PSC検査での事情聴取時(司法省に照会される前)の供述から生じる潜在的な刑事責任を考慮して、米国沿岸警備隊は、拡大PSC 試験の際に船員はミランダ警告(または同様のもの)を受けるべきかについての方針/指針/法的意見を策定したのでしょうか?。 この点に関する可能なガイダンスが2016年に議論されています(ABA AMLCのプレゼンテーションで発表されました)。もし最新情報があれば、是非お寄せください。

拡大PSC検査では事情聴取 は行われませんし、この段階で犯罪の可能性があると判断されたわけではありません。経験上、米国沿岸警備隊PSCの検査官と船員が協力して、汚染の懸念を特定して解決する(あるいは、懸念がないと結論づける場合が多くあります)ことが、この段階での最善の行動です。違法な排出を行ったり奨励したりした場合、隠蔽をしようとすることは、経験上決して良い戦略ではありません。

水分離器(OWS)が故障した場合、E/Rビルジからの水(ビルジでの油発生量が少ないことを前提とします)を廃油処理(セットリング)タンクで蒸発させることは可能でしょうか?そのような情報を船舶管理者/船長から(原因の前に)受け取った場合、USCGはどのように対応するのか教えてください。

米国沿岸警備隊が求めるのは、全船舶の機械室に対するMARPOL Annex Iの要求事項への適合です。船舶には標準的な排出配管が装備されており、OWSが作動しない場合に機械ビルジから受け入れ施設へ残留物を処理するために使用された例があります。

米国沿岸警備隊は乗組員訓練(油流出関連)の効果のほどをどのように確認するのか教えてください。訓練が実施されていないか効果的に実施されておらず、チェックリストにチェックがされただけの場合はどのような要因から分かるのでしょうか?

記録を確認したり、文書化された手順に沿ったプロセスを乗組員が説明できているか、汚染対応機器のメンテナンス/利用可能性の確認に加えて、油の流出を予防するための条件を船がどの程度備えているかの査定をしますが、これは油が流出した際に対応に最も適しているのは、予防することに長けている人であることが多いからですまた、米国沿岸警備隊は抜き打ちの演習を行うこともあります。訓練や演習は、最終的には船主や用船者の責任となります。会社所有者/マスターは、実際の汚染事故の際に乗組員が最善の準備ができるように、効果的な訓練/演習を行うことが大切です。

コンプライアンスを教育し向上する方法、また企業や組織が困った結果に陥った場合に備えるのに役立つ基本的な質問を教えてください。

教育

  • コンプライアンスの奨励と実施
  • 環境問題に関する海上スタッフへの支援と意識の向上
  • 陸上スタッフと海上スタッフの連携を強化
  • 情報提供-改革-転換
  • わからないことがあれば、聞いてください!/ 問題があれば、言ってください!/ 間違いを犯したときは、大声で知らせましょう!
  • 船舶訪問/監査/コーチング/質問/支援/監視/船上訓練 - 環境コンプライアンス、ORBおよびプロセス/手順

基本的な質問

  • 企業のコンプライアンスプログラムは適切に構成されていますか?
  • プログラムは真摯に、そして誠実に適用されていますか?別の言葉で言うとすれば、プログラムは効果的に実施されていますか?
  • 企業のコンプライアンスプログラムは実際に機能していますか?

企業が船員や事務職員に遵守してもらいたい望ましい行動とは何ですか?

  • 全てのMARPOL不履行を報告する。
  • 犯罪の証拠として使用される可能性があるため、油記録簿の改ざんは絶対に行わない。
  • 油水分離器をバイパスするMARPOL機器の改ざんは全く持って許容されません。
  • 妥協しない、近道しない。
  • MARPOL違反が、会社や関係者に利益をもたらすことは絶対にありません
  • 違反はすべての人に悪影響を及ぼす
  • 考え方を変え、MARPOL問題の優先順位を高くする

数多くの起訴、多額の罰金、前例のないほどの懲役刑にもかかわらず、多くの人が他人の失敗から学ぼうとせず、このような不穏な傾向が現在も続いています。この主な理由は何だと思われますか?

  • 商業的圧力の認識。
  • 費用が高額だ、あるいは操作が複雑だと思うかもしれません。
  • そうするのは船上での作業をより効率的により速く行うためかもしれません。
  • 機械を正しく操作する専門知識を持っていないためにそうしてしまうことがあります。
  • そうするように誰かに言われてやっているのかもしれません。
  • ずぼらなのかもしれません。

このウェビナーの 録画は、当クラブの Youtubeチャンネルでホストされています。

以下に方々にお礼申し上げます。

  • John Hillen、 米国沿岸警備隊、ニューヨークセクター、安全保安部門チーフ 
  • 船長 Atul Vatsa、 AV Global Marine ディレクター 

カテゴリ: Loss Prevention, Pollution, Sustainability

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